ファイナンシャルプランナーは個人の家計についてアドバイスをする仕事ですのでFP3級ではライフプランというものの概要を学びます。
人間が生きていく上で一般的にどのようなイベントがあるのかを理解すると、いつ何にいくらお金がかかるのか?が見えてきます。
実際にファイナンシャルプランナーとして業務をする時の流れなどもこの記事にまとめました。
ライフプランニングとは
ライフプランニングは生涯の生活設計を立てることです。
一般的には生計をともにしている家族の状態も考慮して、どのタイミングで何をするかを決めたり、どんな時に何が起こるのかを予想したりしながら計画を立てます。
また、FPにはライフデデザインという言葉も登場します。
ライフデザインは個人自分の価値観に基づく生き方のことで、この価値観が生活設計を数値化させる上で重要になってきます。
例えば車にお金を掛けたい人もいれば、車よりも家にお金を掛けたい人もいるように、何にお金をかけたいのかは個人の価値観によって違うので、ライフデザインに合わせたライフプランニングを行う必要があるんです。
ライフプランニングができてから、ファイナンシャル・プランニングを始めることができるんです。
ライフプランニングの考え方
結婚や出産、退職などライフステージが切り替わる時期を目安にしてライフプランを考えるのが一般的です。
お金の使い方が大きく変わる時期を5つに分けて考えます。
独身期
社会生活の基本的な知識を身につける時期。
就職などをすることによって初めてお金を使えるようになる時期。
自分だけの考えで比較的自由にお金を使うことができ、投資や貯金も可能。
家族形成期
結婚や出産などにより、住まいや生活費に変化が現れる時期。
住む場所や仕事、子供の人数などが定まらずライフプランを立てるのが困難な場合もある
結婚準備、出産準備、教育資金や住宅取得の計画を立てる必要も出てくる時期。
家族成長期
住宅の取得、教育費など大きな金額を実際に使う時期。
支出が大きく貯金は困難になるが、住居費や教育費など大きな支出は予測しやすくなる。
親の介護や相続などについても検討を始める時期。
家族成熟期
住宅ローンや教育費などを払いつつ、自身の健康状態を考慮しながら老後の準備をする時期。
生命保険重視から医療保険に充填を置く見直しの必要性が高まる。
親の介護などが始まり、費用や手間がかかり始める。
定年退職期
健康や生きがいを考慮しながらも第二の人生を続けていく時期。
医療や介護、寿命等予測の難しいことがらを考慮しつつ資産の運用をしなければいけない時期。
相続に関しても関心が高まる。
ライフプランニングの手法・プロセス
顧客のライフプランを立案するには1情報収集、2ライフイベント表の作成、3キャッシュフロー表の作成、4個人バランスシートの作成と4つプロセスを踏みます。
1,顧客情報の収集と把握
ライフプランニングをする上で一番最初に行うことが情報収集で主に定量的情報と定性的情報の2種類の情報を集めていきます。
定量的情報
数値化できるデータ。家族構成と年齢、收入、支出、資産、負債
主に質問シートなどで紙に書き出してもらう方法で情報収集します。
できるだけ多くの情報を詳しく知ることで、長期的なファイナンシャルプランニングが確定できます。
定性的情報
顧客の性格や価値観。
主に面談などで聞き出していきます。
顧客の価値観によって何にどのくらいのお金を使うが左右され、性格の違いは投資や貯金、保険などの仕方の違いにもなりやすいです。
数字以外の情報もファイナンシャルプランニングには必要不可欠になります。
2.ライフイベント表の作成
ライフイベント表は自分と家族の将来の状況や目標を時系列で表した年表です。
漠然とした目標を具体化させていく第一歩になります。
家族の年齢とその時期にしたいことや起こる事柄を記入していきます。
具体的には子供の進学、車や住宅の購入、住宅のリフォームや大規模なメンテナンスなど時期や費用の目処がある程度立っているものを記載します。
3,キャッシュフロー表の作成
キャッシュフロー表はライフイベント表をもとに、将来の収支状況や貯蓄残高を予想し表にしたものです。
キャッシュフロー表に記載する数値は物価上昇率を考慮した将来価値という数値を記入していきます。
給与収入や生活費などは年1%づつ上昇してくと仮定して記載します。
貯蓄残高は年0.5%の上昇率で計算していきます。
盛り込む項目は下記の通りです。
年間の收入・可処分所得の金額
年間の收入は単に年収だけではなくお祝い金などの一時金や積立の満期金なども記載します。
可処分所得は年収から所得税、住民税、社会保険料を控除した金額です。
年間の支出・各支出項目と合計額
支出項目は6項目に分けて予想金額を算出します。
・基本生活費
食費、水道光熱費、雑費など
・住居費
家賃、住宅ローン、管理費、固定資産税
・教育費
学校教育費、学校外教育費
・保険料
生命保険料、損害保険料、社会保険以外の保険料
・その他の支出
交際費、レジャー費
・一時的な支出
上記に該当しない一時的な支出
年間の収支
年間の收入を年間の支出で引いた差額が年間収支額です。
赤字になるか黒字になるのかがひと目で分かる項目ですので、毎年赤字になるようでしたら見直しが必要です。
プラスになる場合は貯蓄額に加算し、マイナスになる場合は貯蓄額から差し引いてください。
貯蓄残高
年間の収支で算出された金額に0.5%で運用できたと仮定した数値を記入します。
4,個人バランスシートの作成
個人バランシートは大きく分けて純資産と負債を記入したもので、お金の流れを理解するために使います。
どのような財産が築けているのか?借金はどのくらいか?などをわかりやすくまとめた表になります。
バランスシートは資産、負債、資本の順番で作成します・
資産の項目
資産部分に記入するのは下記の項目です。
借金で購入したものも含みます。
現金
預金
耐久消費財(家電や車で売却できるもの)
住宅(現在の価値)
土地(現在の価値)
株式(現在の価格)
債券
資産項目に車や住宅の割合が多い場合は注意が必要です。一般的に車は住宅は購入してから年数が経つに連れて価格が下がるものですので、一見債務超過に見えなくても危険なん状態になってしまいがちです。
負債の項目
負債部分はあらゆる借金を書き出します。
奨学金
住宅ローン
カードローン
資本の項目
資本は資産−負債の金額を書き出します。
この部分がマイナスになってしまうと債務超過という危険な状態です。
プラスになるように資本部分を増やしたり、債務部分をなくしていくなどの対策をしなければ貯蓄が難しくなってしまいます。
係数の活用
ファイナンシャル・プランニングをする上で様々な計算するのですが、その時に使える便利な係数が6つあります。
FP3級でも出題傾向の高いものですので絶対に覚えておきたい項目です。
終価係数
現在の額から将来の額を求める時に使います。
現在の元本から一定の利率で複利運用すると将来いくらになるか求められます。
現価係数
将来の目標額から現在必要な元本を求める時に使います。
複利運用で一定期間後に所定の金額を得るために必要な元本が計算できます。
年金終価係数
毎年の積立金額から将来の積立合計を求める時に使います。
複利運用しながら一定期間、一定金額を積み立てたときに将来貯まる金額が求められます。
減債基金係数
目標金額を貯めるために必要な積立額を求める時に使います。
複利運用によって目標金額を貯める時に毎年いくらづつ積み立てればよいのかがわかります。
資本回収係数
年金原資を福利運用しながら受け取れる年金額を求めるときに使います。
また、借入額に利息を含めた毎年の返済額を求めるときにも使えます。
年金現価係数
希望する年金額を受け取るために必要な年金原資を求める時に使います。
毎年100万円の年金を受け取るためにはいくらの元本があればよいのかを求めることができます。
FP3級合格に必要なポイント
FP合格に必要な「ライフプランニングの手法」の重要な部分
・顧客情報は定量的情報と定性的情報に分けて収集する。
・集めた情報を素にライフイベント表を作成する。
・ライフイベント表を素にキャッシュフロー表を作成する。
・最後に個人バランスシートを作成し資産と負債を整理する。