債券投資

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私は投資といって真っ先に思い浮かべるのは株式です。

ですが代表的な投資先には債券というものもあって
実は株式の2倍ほどの市場規模があります。

 

世界の株式市場が6200兆なのに対し
世界の債券市場は1京400兆円以上があるそうです。

 

ファイナンシャルプランニングをする上でも債券は重要で
株式ほど激しい値動きがないため
安定した資産運用を行うために利用することもできます。

 

この記事ではFP3級に必要な債券投資の知識をまとめました。

 

債券の仕組み

債券は公共団体や企業が資金調達のために発行する債務証券です。

 

簡単に説明すると
企業が投資家に借金をする時に発行し
一定の期日が経ったら債券を所有している投資家に
借りたお金と利息を返すのが債券の仕組みです。

 

借金としてお金を貸して
利子で儲けるのが債券投資の基本形なんですね。

 

債券といえば一般的なのが国債。

国債を買うと数年後に利子付きでお金が帰ってきます。

 

株式とはどう違う?

債券が借金の利子で儲けるのに対し
株式は株式自体の価格の上昇と分配金で儲けるのが基本形

 

また株式は保有しなければいけない期間もありませんし
支払ったお金が戻ってくるという保障もありません。

 

債券は預けたお金が数年後に利子付きで帰ってくるので
どちらかというと銀行の定期預金と似ています。

 

ただ債券には元本保障はありません

企業などが倒産をする場合は
貸したお金が帰ってこない場合もあります。

 

それでも会社が倒産する時は決まりがあって
まず借りているお金の返済が優先されるので、
会社の価値によって価格がズルズル下がる株式よりは
債券の方が安定しているといえます。

 

債券の分類

債券は発行体や利払い方法などの違いによって分類することができます。

発行体による分類

国債

国債は日本が発行する債券で国庫債券の略称です。

国が破綻しない限りは元本が保障されるので
安定性は高いと言えます。

 

政府関係機関債

独立行政法人など政府の期間が発行する債券のことで
公共のために使われるお金の募集に使われるので
ほとんど国債のようなものです。

 

地方債

都道府県や市町村が発行している債券のこと。

実質政府保障がついているので安定性は高いです。

 

金融債

金融債は特別な法律に基づいて特定の金融機関が発行できる債券です。

金融機関は社会のお金を回すために重要な役割を担っているので
政府は普通の社債よりも重要なものとして
特別に金融債というものを作ったんです。

 

もともと銀行は社債を発行できないという法律があったため
その制度を補うために金融債というもので代用しようとしました。

 

しかし現在は法改正などがなされ
銀行はいろいろな資金調達手段を持っているので
金融債の需要はなくなり縮小傾向にあります。

 

現に金融債を発行している金融機関はもう8つしかありません。

しかも個人で購入できるものはありませんので
通常の投資先には選べません。

 

社債

社債は会社が発行する債券です。

一定の条件下で株式と交換できる物や
株式の購入権は付帯されているものなどもあります。

 

外債

外債は海外の国債です。

日本より利回りの良い国に投資できるメリットはありますが、
為替変動の影響も受けてしまいます。

 

利払い方法による分類

債券には利払い方法にも種類があります。

利付債

定期的に利子が支払われる債券

最後まで利子の価格が同じのものは固定利付債
利子の価格が変動する物を変動利付債と言います。

割引債

額面金額が償還される債券

発行時には額面よりも低い値段で発行されます。

利子はありません。

 

募集方法による分類

公募債

誰でも購入することができる債券

縁故債

発行体と縁故関係のあるところに出される債券

市町村などの小さな発行体が金融機関などに発行するのに使われます。

私募債

縁故債の一種

通常債券を発行するのは金融庁への届け出が必要ですが
一定の基準を満たした小規模な場合は免除され
私募債と言われます。

 

債券の特徴

債券の発行

債券を発行する時には表面利率、発行価格、償還期間の3つが決定されます。

表面利率

額面金額に対して毎年受け取ることができる利息の割合

クーポンレートとも言います。

 

発行価格

債券を発行する時の価格

債権の額面価格は通常100円に設定されます。

そして発行価格が100円を超える物をオーバーパー発行
100円の物をパー発行
100円以下の物をアンダーパー発行といいます。

 

償還期限

債券の額面金額が償還される期日

 

債券の市場

債券は株式と同じように発行されたあとにも時価で取引が可能です。

 

償還日よりも早く現金が欲しい場合は市場で売ることもできるし、
投機目的で売買に参加することもできます。

債券を取引する場所大きく分けて2つあります。

取引所取引

証券取引所や金融商品取引所に上場され
取引所のルールに則って売買されます。

 

株式取引所は一般の人でもよく耳にしますよね?

テレビや新聞にも株の情報はたくさん出ています。

 

でも債券市場の方はなかなか目立ちません。

というのも取引所で取引される債券はごく少数だからです。

 

実は債券は株式よりもずっと数が豊富。

何万銘柄もあるんです。

そのため取引所で扱うとパンクしてしまうので
ほとんどの債券は取引所では売買されません。

 

 

さらに債券は株式と違い銘柄が日々変動していて
株式市場のようにはいきません。

 

というのも株式は会社が存続している限りずっとあり続けるものですが、
債券は借金なので企業がお金を借りたいときだけ発行します。

だから銘柄が常に入れ替わりつづけるため
株式のように長期の投資先を選ぶことがしにくいんです。

店頭取引

証券取引所を通さないで
金融機関と投資家が直接取り引きをする市場

取引所での取引が難しい債券の売買は店頭取引が主流です。

 

債券と金利変動

債券の価格はは金利が上昇すると下降し

金利が下落すると価格は上昇します。

 

これは金利が上昇することによって
利回りの良い債券の需要が高まるからです。

 

債券のリスク

信用リスク

債券には信用リスク(デフォルトリスク)というものがあります。

債券は借金と同じなので
発行体の償還能力の低下によって
支払いが滞ったり、不能になる場合があり
それがリスクになります 。

 

信用リスクを表す指標として格付けというものがあります。

発行元の返済能力を格付け機関が記号としてまとめたものです。

 

格付け機関は債券だけではなく債券の発行体の格付けも行っています。

 

格付け機関

日本では金融庁の登録を受けた格付け機関を
信用格付業者と呼びます。

 

信用格付け業者の中でも
スタンダード・プアーズとムーディーズ
というアメリカの格付け業者が世界の大多数のシェアを占めていて
格付けのスコアもこの2社のものを目にすることが多いです。

格付け基準

格付けの基準は業者ごとに違うので
複数の業者のスコアを見比べる必要があります。

また格付けのランクはアルファベットと数宇で示されることが多いですが
これも統一された決まりはありません。

 

大手二社の格付けのランクは下記のリンクを参考にしてください。

ムーディーズ

スタンダードプアーズ

 

金利変動リスク

債券は金利の変動に伴って時価が変わります

 

例えば5年満期・額面100円で金利1%の債券があるとします。

翌年金利が上昇し
5年満期・額面100円で金利5%の債券が市場に出回り始めました。

 

すると
金利1%の債券の需要は一気に下がります。

みんな5%の利回り債券のほうが良いですもんね?

 

 

もう1%のほうは額面の100円では誰も買ってくれないので
値段を下げるしかありません。

 

このように金利が上昇することによって
古い債券の時価が下がるのが金利変動リスクです。

 

逆に金利が下がると時価が上がることもあります。

 

また長期債の方が得られる金利が多いので
時価の変動も大きくなります。

 

債券の利回り計算

債券の利回り計算は
応募者利回り、最終利回り、所有期間利回り
と3つに分けられます。

 

応募者利回り

応募者利回りは
新規発行したときから満期償還時まで
所有した時の利回りです。

最終利回り

最終利回りは
既存債を購入したときから満期償還時まで
所有した時の利回りです。

所有期間利回り

所有期間利回りは
所有していた期間の利回りです。

 

 

どの利回り計算でも結局は下記の式で求めることができます。

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 利回り計算はFP3級の試験でも出題されることがあるので
計算練習をしておいたほうが良いです。

 

最後に

債券はほとんど覚える数値や制度はありません。

この記事に書かれていることが理解できれば難しい問題はほとんど無いでしょう。

 

ただ債券の利回り計算だけは少しは練習しておいたほうが良いかもしれません。

 

実技テストでは株式関係の問題が続いていましたが
2018年1月の試験で債券の利回り計算が出題されたことがあります。

 

覚えるところが少ない分
計算練習をしとくのがおすすめです。