FP3級取得に必要な「株式投資」の基礎知識を分かりやすくご紹介

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FP3級では株式投資に関する問題が多く出題されます。

債券投資と並んで大きなウェイトが課されているので
しっかり抑えておきたい科目です。

 

とは言っても3級レベルでは複雑な問題はありません。

 

ほとんどが専門用語の意味を問うものばかりです。

 

この記事でも用語の意味をしっかり掘り下げて解説していますので
参考にしてください。

 

株式の性質

企業が投資家から集めた資金で事業を行い
利益を還元するのが株式のシステムです。


株式の価格は企業の業績に左右されるため
大きな利益が出ることもあれば
損失を被ることもあります。

債券は借金なので会社さえ無くならなければ
元本と利子分は返ってきますが
株式はそうはいきません。

 

 

逆に株式も債券と同じように
景気動向や需給関係などの要因で
時価の変動はあります。

 

大きな利益が出そうな株は高値で取引されますし
その逆も然りです。

 

株式の売買注文

株式の売買注文には4つの情報が必要です。

・銘柄名

・株数

・売り買いの区別

・値段(指値注文なのか成行注文なのか)

 

株式の注文で
一番特徴的なのが値段です。

 

株式の価格は取引所が開いている間、常に変動しています。

 

時々刻々と値段の変わるものを販売したり購入したりするのは難しいですよね?

 

そのため株式の売買には
指値注文と成行注文
という特殊な売買方法があるんです。

 

指値注文

希望の価格を提示して
株式がその価格になったら取引が成立する
という注文方法です。

希望する価格のことを指値と言います。

 

買い注文の場合
指値の価格以下になったときに売買が成立し

売り注文の場合は
指値の価格以上になったら売買が成立します。

 

例えば株式を買う時、
1万円の指値で注文しておくと
株式の価格が1万円以下になったときに
自動的にそのタイミングで株式を買うことになります。

売る場合はその逆で
1万円の指値注文をしておくと
株式の価格が1万円以上になったときに
自動的にそのタイミングで株式の売却を行ったことになります。

 

売るときも買うときも
もし指値に達しなければ
取引は行われません。

 

つまり指値注文は売買の予約のようなもので
値段をあらかじめ自分で決めて提示しておきます。

常に変動する株式を希望の価格で売買するための方法です。

 

成行注文

成行注文は注文が市場に届いた時の時価で売買が成立する注文です。

 

そのため成行注文は売る時も買う時も
売買が成立する価格がはっきりわかりません。

 

現在はネット証券を通して
ほぼリアルタイムで株式の売買ができるので
注文してから売買成立までにほとんどタイムラグはありません。

注文時の価格と実際に売買が成立した時の価格に
それほどの差はないでしょう。

 


注文が届き次第売買が成立するので
指値注文のように取引が成立しないことはありません。

 

つまり成行注文は価格は決められませんが
株式を取引したいタイミングで売買する方法です。

 

 

名義書換

株券電子化前は
株主になると株券という書類をもつことになります。

そしてその株券の所有するときに名義書換手続きが必要でした。

 

しかし株券電子化がされた現在では
株券はすべて廃止され
株主権の管理はすべて電子的に行われています。

 

そのため名義書換手続きは不要になりました。

 

精算

株式の通常取引では
売買が成立した日から3日目に決済を行います。

 

2019年7月までは4日でしたが
株式の電子化やグローバル化にともない1日短縮されました。

 

 

短縮されたとはいえ
そもそもなぜ精算にそんなに時間がかかるのでしょう?

 

実は戦後取引所が再開された頃は
当然、株式の売買はすべて手作業。

名義替えや現金化するまでに時間がかかるので4日間は必要でした。

 

取引のIT化が進んでもシステムの仕様を一気に変更することは難しく
2010年の株券電子化後も4日間の制度が残り続けます。

 

しかし海外の証券取引ではすでに3日間が主流になっていたので
それに合わせて2019年ようやく日本でも3日間の制度にきりかわりました。

 

株式累積投資

毎月株式を一定額づつ購入していく投資方法です。

購入学は一定なので
株価が高い時は少ない株数
株価が安い時は多い株数を購入していきます。

 

するとドルコスト平均法というものの効果が得られ
長い目で見ると平均購入単価を安く抑えることができます。

 

株式ミニ投資

株式は通常100株か1000株単位で購入するのが普通ですが、
株式ミニ投資は10分の1の単位で購入することができるものです。

 

ただし株主総会での議決権がなかったり
成行注文でしか購入できなかったり
制限があります。

 

株式の種類

株式には付与されている権利内容によって3つの種類があります。

普通株

制約や優先権のない株式

優先株

利益配当、残余財産分配請求権に優先権がある株式

残余財産分配請求権は会社が解散すると時に
余った財産を受けることができる権利です。

つまり優先株を持っていると
会社が潰れても多少はお金が戻ってくるということです。

 

劣後株

利益配当、残余財産分配請求権に優先権がない株式

 

株価指数

株式はそれぞれの銘柄ごとに価格が変動しますし、
出来高にも増減があります。

そのためたくさんある銘柄を一つずつ見ても全体の動きはわかりません。

 

そこで株式市場全体の動きから景気の動向を表すために
株価指数というものがあります。

株価指数の中でも代表的なものが
日経平均株価と東証株価指数です。

 

日経平均株価

東証一部上場銘柄の中から選抜された225銘柄の平均値。

 

平均値と言っても単純に銘柄数で割っただけの数値ではありません。

株式の分割や権利落ちなどで一時的な値段の変動を修正した数値の平均値になります。

 

日経平均株価は値段の値段の高い株式の影響を受けやすいデメリットです。

 

東証株価指数

東証一部に上場している約2000銘柄の株価から計算した指数です。

 

日経平均と違って東証株価指数の単位は円ではありません。

1968年1月4日の時価総額(8兆6千億円)を基準の100として比較した数値になります。

 

計算方法は銘柄ごとに時価総額(株価×株数)を算出し
すべての銘柄の時価総額を足します。

この時価総額を基準日と比較した数値が東証株価指数になるんです。

 

東証株価指数は時価総額の大きな銘柄の影響を受けてしまうという難点があるものの
日経平均株価と違い価格の高い株の影響を受けにくいメリットがあります。

 

東証株価指数は英語でTokyo Stock Praice Indexというので
略してTOPIXとも呼ばれます。

 

投資指標

配当利回り

配当利回りは株式の配当金の割合をパーセンテージで表したもので
ひと目で配当を比較できる便利な指標です。

 

企業によっては株価や配当金の金額にはバラつきがあり
ひと目で利回りを計算するのは難しいですが、
配当利回りという指標があることで
簡単に株式の配当を比較することができます。

 

例えば配当金が20円で株価800円の株式と
配当金1875円で株価7万5千円の株式では
どちらの方が利回りが良いでしょうか?

 

 

一瞬で判断をするのは難しいですよね?

 

実は両方とも配当利回りは同じ2.5%なんです。

 

このように配当利回りという指標があると
株価の大小に関わらず
配当の大きさがわかります。

 

配当性向

配当性向は利益の中から配当に回すお金をパーセンテージで表したものです。

 

つまり配当性向が高い会社は
株主に多く還元しているということで
低い場合は還元率が少ないと言えます。

 

 

ちなみに配当性向はだいたい30〜40%くらいが平均です。

 

しかし配当性向が低いからと言って悪いわけではなく
利益を再投資して事業の拡大を図っている可能性があります。

また株主にアピールするためだけに配当性向を高く保っている企業もありますので、
高いから良いとも言えません。

 

PER(株価収益率)

PERは純利益をもとにして
株価が割安なのか割高なのかを測る指標です。

 

PERが低いと株価は割安
逆に高いと株価は割高といえます。

しかし単純に
「PERが10倍以下だから安い!買いだ!」
とは判断できません。

 

PERは他社の数値や過去のPERと比較して初めて意味を成します。

 

 

そもそもPERは株価÷一株あたりの純利益で計算します。

 

例えばA会社とB会社があり

A会社は
株価1万円で一株あたりの純利益が1000円だとすると

10000÷1000=10なので
PERは10倍と出すことができます。

 

一方B会社は
株価1万円で一株あたりの純利益は500円だとして

10000÷500=20で
PERは20倍

 

同じ1万円の株を買ったとしても
A会社は1000円のリターンがあり
B会社は500円のリターンしかないと言えます。

 

株式の値段が同じでも
PER10倍のA会社のほうが割安と言えるんです。

つまり株価だけでは安いか高いかはわからないけど
PERという指標を見ることで割安具合がわかると言うことです。

 

 

 

 

PERは業種によって数値にバラつきがあるため
他社と比べたい時は
同じ業種同士で比較しなければいけません。

 

なぜ同じ業種で比較するのかというと
業界ごとに成長性や影響を受ける金融市場に共通している部分があるからです。

 

 

家庭用品や食品など生活に必ず必要な物を扱う業種は
社会の情勢に左右されにくく
常に一定の消費があり
安定して利益が出せるのでPERが高めの企業が多いです。

 

 

逆に自動車製造会社や銀行などのPERは低め。

すでに規模が大きい産業なので成長性が低く
金融政策や社会の情勢によって純利益が安定しにくいので
PERの上昇が少ないとされています。

 

そのためPERが低いからといって
「銀行の株式が全部割安だ!」と判断してはならず、
銀行同士のPERを比較して
初めて割安かどうかが分かるということです。

 

PBR

PBRは純資産をもとにして
株価の割安度を測る指標です。

 

PBRは1倍を少し超えたくらいが適正
それ以上で割高、
以下だと割安と考えられます。

 

 

そもそもPBRの計算式は
株価÷一株あたりの純資産
です。

 

つまりPBRが適正(1倍を少し超える)ということは
株価一株あたりの純資産よりちょっと高いということになります。

 

 

ではなぜ株価が
一株あたりの純資産より
ちょっと高いとPBRが適正なのでしょう? 

 

 

まずは純資産というものが何なのかをご紹介します。

 

純資産は企業が持っている貯金のようなものです。

例えば企業が倒産することになった場合
借入金などを返済して負債の精算をした後に残るものが純資産になります。

 

純資産を発行株数で割ると
一株あたりの純資産が出ますが
これは解散価値とも呼ばれます。

 

解散価値と呼ばれる理由は
企業が倒産した後の残った純資産は
株主が保有している株数に合わせて分配されるためです。

 

つまり会社が倒産しても
株主は最低でも解散価値(一株あたりの純資産)の金額は保障されていることになります。

 

 

会社が倒産するという最悪な事態が起きても
一株あたりの純資産は保障されているのに
株価がそれを下回っているとうことは普通の状態ではありません。

そのため株価が解散価値を下回って
PBRが1以下になると割安と言えるんです。

 

むしろ会社の成長性への期待やブランド力を含めれば
株価が解散価値を上回るのは普通のこと。

 

高すぎる場合は割高の可能性がありますが
株価が一株あたりの純資産を少し上回っている
PBRが1をちょっと超えているくらいで適正といえるんです。

 

 

 

優良企業の場合はPBRで割安度を測ることができますが、
業績が悪く
純資産も株価もどんどん下がっている会社は
一概にPBRだけで株価の割安度を測れないこともあります。

 

PBR以外の指標も参考にしなければいけません。

 

ROE

ROEは株主のお金を使って
どれだけお金を稼いだかを見る指標です。

 

計算式は
純利益÷純資産
をパーセンテージで表したものです。

 

例えば企業Aが

10億円の純資産で1億円の利益を上げたら
1億÷10億=ROE10%
となります。

 

対して企業Bは
10億円の純資産で2億円の利益を上げ
2億÷10億=ROE20%
でした。

 

利益が多いほどROEが高くなるので
企業Bのほうがお金をしっかり稼げている会社と見ることができます。

 

 

しかし一概にROEだけで稼げている会社かどうかを判断することはできません。

会社が儲けるために使っているお金は純資産(株主のお金)だけではないからです。

 

会社が使うお金には銀行から借り入れている借金も含まれます。

 

例えば企業Bは
10億円の純資産で2億円の利益を上げROE20%ですが
90億円の借り入れをしているので、
実際には100億円を使って2億円しか稼げていないことになります。

企業AはROE10%でも
借り入れ金はなく
10億円だけで1億円を稼いでいるといえます。

 

この場合は企業Aの方が稼ぐ力があると言えますよね?

 

 

純利益が高く
一見ROEが高く見えても
必ず設けている会社とは言えないので注意が必要です。

 

 

FP3級合格のための株式投資の基礎知識

株式投資には専門用語が多く登場します。

しかもPERやPBRなどは似ているので特にややこしいですよね?

 

この記事もほとんど用語解説のようになってしまいました。

 

それでも例年株式投資に関する問題は一番多く出題されているので
きっちり抑えておいてください。