FP3級では住宅取得のファイナンシャルプランニングのために購入資金の貯蓄方法や住宅取得の際に必要な経費についての知識が必要です。
特に一番重要なのが住宅ローン。住宅ローンの種類や返済方法の概要は必ず抑えておかなければいけません。
住宅取得の考え方
住宅の取得は人生で一番高額な買い物なので十分に計画を立てる必要があります。
欲しい家を考える前に、まず最初にいくらの家なら購入できるのかをライフプランに基づいて算出し長期的な返済計画を立てなければいけません。
子供の教育、老後の資金などを貯めながら安心して返済できるローンを組むことが必要です。
自己資金の形成プラン
住宅を購入する場合、家の代金全部のお金を貯めてから購入するのでは貯蓄に時間がかかりすぎるため、ローンを組むのが一般的です。
しかし住宅の価格全部をローンで組むのは難しいので、最初にある程度まとまった額を貯めなければいけません。
一般的には頭金と諸費用を足した購入価格全額のうちの20〜30%の自己資金は準備してから住宅の購入をします。
また、頭金を支払った時に3ヶ月分程度の生活費は最低でも残しておくと不足の事態が起きたときも安心です。
財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄は勤労者財産形成促進法に基づいた、勤労者の生活を充実させるのが目的の制度のことで、特に住宅の購入資金を貯めるために利用できます。
550万円までの引き出しに係る利子が非課税になるのが最大のメリットです。
FP3級合格のために覚えるポイントは4つ
・給料天引きで積み立てる
・契約締結は満55歳未満の勤労者
・原則5年以上の積立
・非課税枠は財形年金と合算して550万円まで。保険型の年金は払込額の累計が550万円まで
FP3級の範囲ではありませんが財形住宅貯蓄には、金利以外に奨励金が上乗せされたり、財形持家転貸融資という公共の住宅ローンが受けられるというメリットもあります。
貯蓄ゼロで住宅購入してはいけないワケ
頭金0円でも住宅ローンを借りられる銀行や会社はありますが、実際に貯蓄ゼロの家庭では月々の返済が難しい可能性があります。
賃貸住宅に住んでいる家庭ならば、毎月の返済額が家賃分くらいなら返済が可能と考えてしまいがちですが、実際は住宅を購入すると固定資産税やメンテンナンス費など賃貸時代にはなかった費用が上乗せされますので、安易に家賃と同額のローンを組むのは危険です。
また、賃貸物件に住んでいなくても貯蓄のできていない家計の状態では、計画的にローンの支払いができる可能性は少ないです。
数年間は住宅ローンを返済しているつもりで毎月貯金をして自己資金を貯められるようでなければローンを組まないほうが良いでしょう。
住宅購入に必要な経費
住宅を購入する時に住宅の代金の他、下記のような費用や税金もかかるので実際に支払う価格が予想を上回る可能性も考えられます。
税金関係
土地や建築物などは高額になるので、それに係る税金も多額になってしまいます。
印紙税
不動産の取得など法的に根拠のある契約書に係る税金。1~6万円。
登録免許税(所有権移転登記)
不動産の登記に必要な土地と建物にそれぞれ課される国に収める税。固定資産税評価額に係って金額が決まります。
土地の所有権移転登記 2%
新築建物の登記 0.4%
中古建物の登記 2%
不動産取得税
不動産を取得した時に都道府県に払う地税のこと。
固定資産税評価額の4%
不動産取得後に納税通知書が送られてくるので、その時に支払います。
登記手数料
登記を司法書士にする場合の報酬。20万程度。自分で行うなら無料になります。
仲介手数料
不動産屋から土地を買う時に必要な手数料。土地価格の3%+6万円
住宅ローン関係
住宅ローン関係の費用は借入額に係った金額を最初に支払う場合もあれば、金利に上乗せされる場合もあります。
どちらにしても頭金を多くしてローンを少なくすれば、住宅ローン関係の費用は少額で済みます。
保証料に変わる手数料でローンを組む時の事務手続きの費用。借入額の1~3%
ローン保証料
住宅ローンには保証人がいらない代わりに保証料というお金を保証会社に支払う必要があります。
借入額の0.5~2%
保証料の支払い方法には最初に一括して支払う外枠方式と金利に上乗せされて支払う内枠方式の2つがあります。
外枠方式の場合、繰り上げ返済をすると保証料の一部が返還されます。
融資手数料
ローン保証料に代わって融資手数料というものを選択できる金融機関があります。
融資手数料はローン保証料より安くなることが多いですが、繰り上げ返済などをしても返還されることはありません。
団体信用生命保険料
住宅ローン専用の保険で、債務者に何かあった時にローンの支払いを肩代わりしてもらえます。
保険によってはがん特約や8大疾病特約付きの保険もあります。
登録免許税(抵当権設定費用)
住宅ローンは建物を担保にお金を借りるので、購入した建物に抵当権を設定します。そのときにも登録免許税がかかり税額は借入額の0.4%です。
登記手数料(抵当権設定)
抵当権を設定する登記は司法書士が行わないと住宅ローンの借り入れが難しいので、 司法書士に支払う報酬が必要になってきます。
火災保険料
住宅が災害にあった時のための保険料。
住宅ローンの借り入れをする時に火災保険に加入していなければいけないところがほとんどです。
家の購入時に10年分をまとめて支払うのが割安で一般的。
その他
地震保険料
火災保険に付随させる任意加入の特約。こちらも10年一括払いが一般的です。
引越し費用
家族全員の引っ越し代となるとかなり高額になるので、住宅購入時に金額を見積もっておくと良いでしょう。
仮住まい費用
建設中に仮住まいをする場合、家賃以外に賃貸の諸費用が多額にかかります。仮住まい期間が短くても最初から計画的に資金の準備が必要です。
耐久消費財
エアコンや照明、家電などの費用です。
住宅ローンの金利
住宅ローンは住宅の購入資金を金融機関などから借りて、長い時間を掛けながら借りた金額を返済します。
借りたお金を返す時に利子を上乗せして返済する必要があるのですが、その利子の金額の決まり方には3つの種類があります。
固定金利型
ローンを組んだ時の金利が返済終了まで変わらないタイプ
変動金利型
返済の途中で市場金利の変動に応じて金利が見直されるタイプ
金利の見直しは半年に一度行われますが、半年ごとに返済額が決まるわけではなく、借入額の見直しは5年に一度になるのが一般的
固定金利選択型
返済当初の金利が一定期間固定されるタイプ。
金利の固定期間がすぎると、次の固定金利期間に入るか、変動金利型になるか選択できる
住宅ローンの返済方法
住宅ローンは毎月定められた金額を返済していくのですが、利子の付け方によってこの返済方法にも2つの種類があります。
元金均等返済
借りた金額(元金)を均等に割った金額を毎月返済します。
毎月コツコツ元金を返済していくので残りの総返済金額がどんどん減ります。それに伴って利子も減っていくので、毎月の返済額は少しづつ下がっていきます。
ただ返済当初の返済額が高額になるのがデメリットです。
元利均等返済
元利金等返済は毎月の返済額が一定になるように元金と利子の配分を調整した返済方法です。返済当初から最後まで返済額は変わりませんが、総支払額は高くなってしまいます。
住宅ローンの種類
住宅ローンには大きく分けると民間の融資と公的な融資の2種類があります。
フラット35
民間の金融機関と独立行政法人住宅金融支援機構の提携による住宅ローン。
最大の特徴は返済開始時の金利が35年間持続することです。
・資金用途
新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入、住宅ローンの借り換え費用などに当てることができます。リフォーム資金に充てることはできませんが、中古住宅を購入する時に必要なリフォーム代には充てることができます。
・融資金額
100万円以上8000万円以内
住宅部分のみに使用できるので、事務所や店舗を併設する場合は住宅部分の建設費までしか融資されません。
希望する場合、土地取得の費用にも充てることができます。
・金利
融資実行時点での金利が全期間適用されます。
金利は取扱金融機関によって違いがあります。
・返済期間
原則15年以上35年以内で一年単位の返済期間です。
しかし完済する年齢が80歳を超えてはいけません。
60歳以上の方は10年以上35年以内の返済期間になります。
・返済方法
元金均等返済か元利均等返済
・保証人、保証料
必要なし
財形住宅融資
財形住宅融資は財形住宅貯蓄をやっている人向けの住宅ローンです。
財形貯蓄を1年以上続けて残高が50万円以上になっていると使用できます。
金利は5年固定金利で融資金額は財形貯蓄残高の10倍までになります。
民間の住宅ローン
民間の住宅ローンは各銀行や会社が取り扱っていて、種類が多いですが共通する特徴があります。
・対象物件に対する規制が少ない
・返済終了時の年齢制限がある
・各金融機関が指定する保証会社の保証が得られることが条件
・団信に加入できることが条件
住宅ローンの借換え
住宅ローンの借り換えは返済中の住宅ローンから別の金融機関の住宅ローンに切り替えることです。
借り換えには手数料などの諸費用が係るのですが、返済の残り期間が長く、額が大きい場合は金利が安くなるというメリットがあります。
しかし、担保割れしている場合などは借り換えができないケースもあります。
住宅ローンの繰り上げ返済
繰り上げ返済は家計に余裕がある場合に、通常月よりも多めの返済をすることです。
繰り上げ返済をして元本を少なくする事によって金利が抑えられます。
繰り上げ返済によって残りのローンの返済期間を短くすることを期間短縮型、返済期間は変更せずに毎月の返済額を減らすことを返済額軽減(圧縮)型と言います。
また、残りのローンを全て繰り上げ返済することを全部繰り上げ返済(一括繰り上げ返済)、ローンの一部を返済することを一部繰り上げ返済と言います。
FP3級合格に必要な住宅プランニングのまとめ
・住宅購入には購入価格の20~30%の自己資金を準備する
・財形住宅貯蓄という自己資金形成方法がある
・住宅ローンには固定金利と変動金利がある
・35年間固定金利のフラット35がある