FP3級合格のための社会保険の超基礎をわかりやすく解説

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なんとなくは知っているけど実はよく分からない日本の社会保険制度をわかりやすくご紹介します。

この記事はFP3級を目指し始めた超初心者向けの内容になっています。

 

社会保険を簡単に説明すると… 

社会保険は国や地方公共団体などが運営する保険のこと。

 

民間企業の保険と同じで、
何かあったときに保証してもらうことができる制度になります。 

 

社会保険でカバーできる範囲は意外と広く、例えば…
病院に行った時は治療費を7割も負担してくれたり、
介護が必要になれば介護サービスの費用も出してくれたり、
リストラされてしまった時でも、失業給付を受けたりすることだってできちゃいます。

 

 

ただ民間の保険と違うところは強制加入だというところ。

運営する団体が国や市町村なので、日本に住民票があれば自動的に加入していることになります。

 

「社会保険に入りたくない!」と思ってなんの手続きもしていない人でも勝手に加入されてしまっているんです。

そして、社会保険料の支払い通知が送られてきます。

「こんな高い保険料払えるか!」と支払いをするかどうかは自由ですが、
掛け金を支払っていなければ保証を受けることができません。

 

普通は会社員や公務員の場合、社会保障の掛け金は給料から天引きされているはずなので、わざわざ払った記憶のない人がほとんどだと思います。

学生や自営業の場合は納付書で直接市町村に支払っていますね。

  

 社会保険の分類

医療費の負担も社会保険がしてくれるし、
失業したときの援助も社会保険、
老後の年金までも社会保険で賄われます。

でも保証する種類が多すぎて、まとめて取りまとめると管理がしにくいため、
日本の社会保険は保証する内容によって
5つ部門に分けられています

 

医療保険

年金保険

労災保険

雇用保険

介護保険

 

それぞれ管轄する公共団体が異なるので、
保険料の支払い先や給付するときの方法などが違ってくるんです。

 

 

また、5つの分野に分けられる社会保険ですが、
職業によっても管轄する団体が変わり、社会保険の名称も異なるんです。

 

会社員や公務員を対象とする職域保険
自営業や無職の人を対象とする地域保険
に分類することができ、下記の表のよう保険の名称が決まっています。

 

  地域保険 職域保険
医療保険 国民健康保険 健康保険
年金保険 厚生年金保険 年金保険
介護保険 介護保険
労災保険 労災保険(特別加入) 労災保険
雇用保険 雇用保険

 

介護保険だけは会社員も自営業の人も同じで、市町村が管轄する介護保険に加入します。

雇用保険だけは自営業や無職の人は加入する保険がありません。

 

以下ではそれぞれの保険をもっと詳しくご紹介します。

医療保険

医療保険は病気、怪我、出産や死亡したときに保険金が給付されるものです。

 

身近な例で言うと病院に係ったときの治療費などがあります。

通常の病気や怪我で病院に行った場合、
医療費の7割を負担してくれるのがこの医療保険です。

 

また怪我などで仕事ができなくなり収入がなくなってしまった時の保険金の医療保険から支払われます。

 

 

治療費でも仕事中や通勤中の怪我や病気については医療保険ではなく
労災保険が適用され労災保険から治療費の給付を受けますので、
紛らわしいですが注意してください。 

 

医療保険の管轄(保険者) 

日本の医療保険は 公務員や会社勤めの人用の健康保険
自営業の人用の国民健康保険に分けることができます。

 

何が違うのかというと管轄する団体が違います。

 

健康保険の保険者は全国健康保険協会健康保険組合
国民健康保険の保険者は都道府県(市町村)国民健康保険組合になるという違いがあります。

 

 

どちらの医療保険も治療費は7割負担なのですが、
管轄する組織が違うので、
保険料の支払い方法金額が大きく異なります。

 

国民健康保険は加入者ひとりひとりが全額の保険料を直接保険者に払います。

市町村管轄の場合は住んでる所によって多少の違いはありますが、
年齢や配偶者の有無に関係なく加入者全員同じ金額です。

 

一方健康保険は加入者に扶養されている家族などは保険料の支払いは免除です。

さらに保険料は勤めている事業所との折半で支払いますし、
保険料の支払いも給料から天引きされ、
事業所を通して間接的に保険者に払います。

 

 

保険者の違いや支払い方法など
公的医療保険についてもっと詳しくこちらの記事にまとめてあります。

 

  

年金保険

退職後に給付される年金は年金保険で賄われます。

 

年金保険は老後に給付される(老齢給付)だけではありません。

障害を持ってしまったり(傷害給付)、
家計を支える人がなくなった家族(遺族給付)などを支える社会保険でもあります。

 

公的年金はすべての国民が加入している国民年金(基礎年金)
事業者に務めている会社員や公務員が国民年金に上乗せで加入できる厚生年金があります。

つまり厚生年金は保険料を上乗せする分、
給付される年金の金額も高くなるということです。

ただ厚生年金の場合、保険料は事業所との折半になるので、保険料がべらぼうに高くなるわけではありません。

 

年金保険の管轄(保険者)

国民年金も厚生年金もどちらも国民年金機構が管理していているので、
医療保険のように住んでいる地域によって保険料の差が出ることはありません。

 

年金保険についてはこちらで詳しくご紹介中です。

 

介護保険

介護保険は老化に伴って介護が必要になったときに受けられる保険です。

老人ホームに入所したり、介護用品の購入やレンタルをするときの補助になり、
原則、介護で必要になった費用の9割を賄ってくれます。

 

保険料は医療保険や年金保険と同じように
勤めている人は事業所との折半で支払います。

 

一方で介護保険の加入は40歳から

医療保険や年金保険は20歳からの加入なので、
加入する年齢が違うのが大きな特徴です。

 

 

介護保険を受けるためには介護認定を受け
要介護度に合わせたサービスを使用しなければなりません。

また第2号被保険者と呼ばれる40〜65歳未満の被保険者が介護保険を受けるには、
16種の特定疾病にかかっている必要があります。

 

介護保険の管轄(保険者)

 保険料は健康保険や国民健康保険に一定の料率で上乗せされる形で納付しますが、
管轄(保険者)は市区町村です。

市町村ごとに介護設備や要介護者の人数に差があるので、
金額に違いがあります。

 

詳しい介護保険のことはこちらの記事でご紹介しています。 

労災保険

労災保険は仕事中や通勤途中の怪我や
仕事が原因で患ってしまった病気などに対して
保険金が給付されるものです。

 

労災保険にも医療保険や介護保険のように
療養給付介護給付遺族給付などがあって似ていますが、
労災保険での給付はどれも仕事が原因の場合に限られます。

 

仕事以外の怪我や病気は医療保険で賄わなければいけません。

 

 

医療保険や年金保険とは違い
国民一人ひとりが保険料を払ったり、
事業所と折半で払ったりするわけではなく、
勤め先が保険料全額を払います

 

そのため自営業をやっている人は原則この保険には入れませんが、
一定の要件を満たすと特別加入することが可能です。

 

労災保険の管轄(保険者)

労災保険は厚生労働省が管理しています。

 地域によって保険料に差はありませんが、
職種に金額に違いがあります。

 

危険で事故の可能性が高かったり、
もし事故が起こった際に重大な被害を被るような職種なほど
保険料率が上がります。

 

林業や採石業、金属工業などは高く
不動産業や通信業は低めに設定されています。

 

業種による労災保険の保険料率はこちらの記事で詳しく紹介されています。

労災保険料の計算方法|給与計算の基礎知識

 

労災保険については別記事でもっと詳しくご紹介中です。

 

雇用保険

失業してしまったときの生活費や
再就職するための教育金を負担してくれるのが雇用保険です。

こちらも雇用されていない自営業の人は入れません。

 

労災保険と違い労働者なら誰でも加入できるわけではなく、
勤務日数や労働時間が一定以上の労働者だけが加入できます

パートやアルバイトでは加入できないことが多いです。

 

雇用保険の管轄(保険者)

雇用保険は厚生労働省が管轄しているので、
地域によって差はありませんが、
職種によって金額に差があります。

 

農業や漁業など季節によって給料に差が出たり、
建築業のように仕事量(賃金)が上下する職種は保険料率が高めに設定されています。

 

 

民間の保険との違い

社会保険は強制加入という点が民間の保険とは大きく違います。

 

民間の保険は自分で選んで好きな保険に加入することができますが
社会保険は嫌でも加入しなければならず、
雇用保険などは保険料を支払わないと違法になることだってあります。

 

 

また社会保険は所得再分配の性質があります。

特に医療保険料は所得に対し一定の割合徴収されますが、
受けられる医療サービスは高所得者も低所得者一緒です。

 

しかし民間保険は支払った保険料に見合ったサービスを受けるために
下記の3つの原則の上に成り立ちます。

 

1,給付・反対給付均等の原則

民間の保険は払った保険料に応じて給付額が決まります。

高い保険料を支払えば支払うほどもらえる金額(保険金)も高くなります。

しかし社会保険では一般的に収入が多い人がたくさんの保険料を払いますが、
もらえる金額については収入に関係なくみんなほぼ平等です。

 

2,保険技術的公平の原則

民間の保険はリスクの高い病気、例えばがんなどに掛かる保険の保険料は高くしますが、
社会保険の保険料は一定です。

ただ保険料が一定な分、給付される保険金額もある程度限度があったり、
健康保険適用外の治療などもあったりします。

 

3,収支相当の原則

民間の保険会社は集めた保険料と運用益(収入)が支払額と経費(支出)が一致するように保険料の計算をしますが、
社会保険ではこの原則に当てはまらず、
足りない分は国庫から支出される場合もあります。

 

まとめ

社会保険は国や地方公共団体が運営しているおり、大きく5つに分類されます。

医療保険

年金保険

雇用保険

労災保険

介護保険

 

また社会保険は公共性のある保険なので民間の保険とは仕組みが少し違います。

 

ファイナンシャルプランナー3級試験でも社会保険についての知識が問われます。

この記事では社会保険についてざっくり説明しているだけですので、
5つの分野それぞれについては別の記事を参考にしてください。