FP3級合格に必要な「ファイナンシャルプランニングと関連法規」の基礎知識

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ファイナンシャルプランニングをする上で切っても切り離せないのが、税金や法律、投資、保険の話です。

しかし税金や法律の相談、投資や保険のアドバイスは特定の資格を持っていない人がすると罪になってしまう場合があります。

 FP3級合格に必要な範囲ではファイナンシャルプランナーができないこと覚えれば十分ですが、この記事ではFP3級程度のテキストだけでは理解が難しい部分まで補足します。

 

特にファイナンシャル・プランニングと関連の深い法律は税理士法、保険業法、金融商品取引法、弁護士法の4つです。

 

税理士法

ファイナンシャルプランナーは税務代理、税務相談、その他税理士法に規定されている行為は有償無償問わずできません

 

3級FPに合格するだけなら上記の文章を覚えるだけで十分なのですが、まだ勉強を始めたばかりの人はよく意味がわからないですよね。

 

少し詳しく説明するとこの「税務代理」は税金に関する申請や申告、請求などを顧客に代わってすることです。

そもそも税金の申請などをするときに税理士は「税務代行の権限の明示」といって、「私はこのお客さんに代わって税金の申請をしていますよ」という委任状みたいなものを提出しなければいけません。この委任状の自体、税理士の資格を持った人しか作れません。

 

「税務相談」は税金関係の書類の作成をする時の税額の計算などをすること。

こちらは実際に顧客個人の税額を算出することで「あなたの収入は○○円なので、所得税は☓☓円です」などの説明もできません。

 

そして「その他税理士法に規定されている行為」というのは、税務関係の書類を作成することなどが入ります。

具体的にはお客さんの収入や控除などを計算して確定申告書を作成することはファイナンシャルプランナーにはできません。金額を計算するだけでも書類を作成するだけでもダメなんです。

 

さらに税理士法は弁護士法や保険業法と違い「有償無償問わずできない」とも書かれています。

なぜわざわざ税理士法の部分だけこんな文言があるのかというと、税理士の仕事は「無償独占業務」とされているからです。無償独占業務とはお金をもらわなくても資格を持っている人しかできませんよ!という意味で、法律的には最上級に厳しい制限なんです。

ちなみに税理士以外に無償独占業務と規定されている資格には、建築士、薬剤師、医師、ふぐ調理師などがあります。確かにたとえた無料でも医師免許のない人が手術をしたら大変なことになりますよね。この通り命に関わるような仕事と同じくらい税理士の資格は厳しいものになっているんです。

 

無償独占業務に対して有償独占業務というのもあって、こちらはお金をもらわなければ資格を持っていない人でもやっていいよ!という意味です。公認会計士や行政書士がこれに当たります。

 

 

ではファイナンシャルプランナーには何ができるのかというと、一般的な税金の説明や事例を紹介することです。

例えば「確定申告には☓☓という制度があって、税金の控除があります。そのための手続きは〜〜です。」くらいの説明は可能です。

 

保険業法

ファイナンシャルプランナーは保険の勧誘や募集はできません

というのは保険の勧誘や募集は内閣総理大臣に委任された金融庁長官の登録を受けた保険募集人しかできないことになっているからなんです。

 

保険募集人には生命保険募集人と損害保険募集人と2種類あるのですが、両者ともそれぞれ試験に合格しなければ登録ができません。

難易度こそ高くはなく数十時間の勉強時間で合格できてしまうほどの試験ですが、生命保険募集人は登録前に研修を受けなければならなかったり、損害保険募集人は5年更新制だったりと厳しい管理体制下にあります。

 

過去に保険金未払いや重要事項の説明不足、利益優先で高額な保険を販売する、などの保険に関するトラブルが多発していた時期があったために現在の制度ができました。

 

また保険募集人を登録制にすることで複数の保険会社に所属する二重登録や乗合募集にも制限をかけています。

 

 

保険募集人と違いファイナンシャルプランナーには何ができるのかというと、保険商品や一般的な保険制度の説明までです。

 

金融商品取引法

ファイナンシャルプランナーは有価証券の価値に助言したり、投資の判断をすることはできません。

 

有価証券の助言や投資の判断など金融商品を通り扱えるのは内閣総理大臣の登録を受けた金融取引業者だけです。

 

金融商品取引法は同じくお金を取り扱う銀行業法や保険業法とは違い、投資性が高く元本割れの可能性のある商品も取り扱います。

そんなリスクのある金融商品から消費者を守るための法律なんです。

 

ファイナンシャルプランナーは個別の投資先の売り買いを示したり、将来の株価を予測して顧客に伝えると、投資の判断・価値の助言にあたってしまうのでしてはいけません。

しかし投資方法を示すだけだったり、過去の株価情報を提供するだけなら違法にならない可能性もあります。

 

 

ちなみに金融商品取引法では金融商品の投資助言・代理業をする場合には業務を始める時に営業保証金500万円を預けなければいけません。

この営業保証金は業務で顧客に損害を与えてしまった時に使用されるお金の一部になります。

これほど投資の助言などにはリスクを伴う業務になりますので、届け出を出していないファイナンシャルプランナーが勝手に金融商品の取引に関する仕事をしてはいけないんです。

 

弁護士法

ファイナンシャルプランナーは法律に関して弁護士のように相談や判断をしてはいけません。

弁護士法72条では「弁護士以外の人が業として法律事件に関して法律事務をしてはいけない」と定められているので、もし行ってしまうと違法になります。

 

訴訟問題や行政に対する異議の申立てなどにファイナンシャルプランナーが関わることは少ないですが、気をつけなければいけないのが遺産分割や債務整理に関する相談です。

 

遺産分割は必ずしも弁護士が必要なことではなく当事者同士で解決できることなので、ファイナンシャルプランナーが相談を受ける可能性があります。しかし、遺産相続の調停や審判をする過程で法律事務を行うので、弁護士ではないファイナンシャルプランナーが仲介してはいけません。

あくまで法律の説明や一般的な事例をするだけで遺産分割の書類作成や判断はしてはいけません。

 

また債務整理などは貸金者との和解交渉などをすることで、弁護士や司法書士が行わなければいけません。

上記のような弁護士でないとできないことをやってしまうことを非弁行為と言います。

 

また、弁護士は税理士とは違い無償独占業務ではなく、有償独占業務なので報酬を得なければ行っても良いとされています。

 

FP3級合格のためのポイント

ファイナンシャル・プランニングと関連法規の範囲で3級の合格に必要な知識は各法律ごとにファイナンシャルプランナーができなことを覚えておくことです。

 

・税理士法

有償無償問わず税理士の仕事をしてはいけない

 

・保険業法

保険の勧誘や募集を行ってはいけない

 

・金融商品取引法

有価証券の価値を助言したり、投資の判断をしてはいけない

 

・弁護士法

報酬を得る目的で法律事務をしてはいけない