FP3級合格に必要な「ファイナンシャルプランニングと倫理」の知識と根拠

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ファイナンシャルプランニングのテキストを開くまず記載されているのが、ファイナンシャルプランニングと倫理というページ。

ここには「FPのニーズが高まっているよ!」とか「守秘義務の遵守」とかしか書かれていないため、何回も反復して勉強する必要はなさそうですよね?

 

確かに3級FPの試験に通るだけなら問題ありませんが、実務を行う場合や2級、1級とステップアップするならもうちょっと倫理について詳しく知る必要があるかと思います。

 

この記事では「とりあえず3級の試験にだけ受かれば良いんだ!」という人ではなく、もっと深く理解できるようにファイナンシャル・プランニングを倫理をまとめました。

 

FPの社会的なニーズ

ファイナンシャルプランナーのテキストには「近年FPのニーズは高まってきている」と書かれています。

 

そもそもファイナンシャルプランナーは貯蓄、投資、保険、不動産、税金、相続などの人生で避けては通れない事柄について、他の専門家と協力を得ながら、顧客のライフプランを立てる専門家です。

ファイナンシャルプランナーが扱う知識は人間が生きる上で誰もが必ず関わっていくものばかりですので、常に一定のニーズがあることがわかります。

 

しかしFPの教科書には「他の専門家と協力を得ながら」との記載がある通り、ファイナンシャルプランナーの仕事は家計全般のアドバイスが主なのでどうしても専門性は低いです。

ファイナンシャルプランナーよりも深い知識を持った専門家はたくさんいます。

例えば税金のことなら税理士や公認会計士、年金や労務のことなら社会保険労務士などです。

ファイナンシャルプランナーはこれらの士業ほどの専門性はないとされているため、他の専門家との協力を得る必要があるんです。

 

ではファイナンシャルプランナーの持っている知識は乏しく、他の資格の寄せ集めなのか?というとそうではありません。

ライフプランを立てられるのがファイナンシャルプランナーの強みです。

個人の家族構成や収入を計算して収支のシュミレーションを行い、最適な保険や貯蓄計画を立案するのは他の資格ではできません。

 

ただ正確な税金の金額を算出したり、FPから保険や金融商品を直接購入したりすることは法律上できないので、他の専門家と協力する必要があるんです。

 

知識の範囲が広いので、ファイナンシャルプランナーの求人を見ると保険業界や不動産業界など業種をまたいで多種の募集があり、FPの需要は高まっていると言えます。

 

 

そして特に、このファイナンシャルプランナーのニーズが近年高まりつつある背景に3つの要因があります。

 

1,金融資産の増大

金融資産とは預貯金や株・債権などのことですが、近年日本では個人が保有する金融資産が徐々に増えてきています。

特に増えているのは預金や貯金です。

日銀は四半期に一度、金融資産の統計を出してくれているのですが、それによると2019年の4−6月期の家庭の総預金額は991億円と過去最高額を示しました。

 

預金や貯金は増えているものの、まだまだ日本人には投資に対する意識は低く、貯めたお金をどうすればよいのか分からない状態になっているため、ファイナンシャルプランナーの需要が高まっていると言えるんです。

 

2,ビッグバンの進展

金融商品や保険、新しい制度などが増えたこともファイナンシャルプランナーのニーズが高まった要因です。

 

そもそも金融界でのビッグバンとはロンドンの証券取引所で行われた証券制度の改革が語源です。

日本では1996年から2001年に行われた金融改革を日本版ビッグバンと呼ぶようになりました。

 

この日本版ビッグバンでは大規模な金融業の規制緩和がおこなわれましたが、ビッグバン以降もNISAなど革新的な施策が続けて行われ、今では個人でも様々な商品やサービスを買うことができるようになりました。

 

多様化したサービスから顧客が自分にあった商品を探すためには、ファイナンシャルプランナーの正しい専門知識が必要になります。

 

3,高齢化社会の進展

少子高齢化社会が進むと今までの公的年金制度の維持が難しいと予想されます。

現段階でも給付年齢を段階的に引き上げている状態ですし、少子高齢化に伴って税金の制度も日々更新され続けています。

 

そのため節税の相談や個人年金などの長期的な投資に必要性を感じている顧客が増えたこともファイナンシャルプランナーのニーズを高める要因になっています。

 

FPの社会的な役割

ファイナンシャルプランナーの役割は国民の経済的な自立を支援することです。

 

ファイナンシャルプランナーの資格だけでは保険の勧誘や証券の価値に対して助言はできません。

また、税理士や弁護士ができる各種行政手続きや、宅建士が行う不動産の売買なども不可能です。

 

あくまでファイナンシャルプランナーは顧客の経済的な自立を手助けすることだけになります。

FPの持つ貯蓄、投資、保険、不動産、税金、相続などお金の知識を顧客のライフプランに合わせて助言することがファイナンシャルプランナーの役割です。

 

FPの職業的原則

3FPのテキストではファイナンシャルプランナーは「顧客利益の優先」「守秘義務の遵守」という2つの原則を守らなければいけないと書かれています。

3級の試験をパスするだけならただこの2つの原則を暗記をしておけばよいのですが、実はこの倫理原則はCFPというFPの最高峰の資格認定者でも厳密に順守しなければいけない基準の一部でとても重要な項目なんです。

 

CFP認定者の倫理原則は国際CFP組織FPSBが定めたもので8項目の原則からなります。

 

CFP認定者の倫理原則

第1原則 顧客第一

顧客の利益を最優先させなければならない。

 

2原則 誠実性

誠実性をもって専門的サービスを提供しなければならない。

 

第3原則 客観性

客観的に専門サービスを提供しなければならない。

 

第4原則 公平性

専門家としてすべての関係において、公平で道理をわきまえなければならない。また、利益相反を開示し、管理しなければならない。

 

第5原則 専門家意識 

専門家として模範的な態度で行動しなければならない。

 

第6原則 専門的力量

専門的力量に満ちたサービスを提供するために、必要な能力、スキル及び知識を維持しなければならない。

 

第7原則 秘密保持

顧客のすべての情報を保護しなければならない。

 

第8原則 勤勉性

勤勉性をもって専門的サービスを提供しなければならない。

 

 

3級FPではCFPほどの専門性を期待されているわけではないので、まずは第1原則の顧客第一と第7原則の秘密保持くらいは覚えておきましょう!ってことで試験に出題されるようです。

 

CFPの倫理原則は金融庁が金融事業者に向けて公表している「顧客本位の業務運営に関する原則」と内容が一致する部分があります。

ファイナンシャルプランナーは厳密には金融事業者ではありませんが、お金を取り扱う仕事レベルの厳しい原則が定められています。

 

まとめ 

FP3級合格に必要な「ファイナンシャルプランナーと倫理原則」のまとめです。

・ファイナンシャルプランナーのニーズは社会情勢の変化に伴って高まってきている

・ファイナンシャルプランナーの役割は国民の経済的な自立を支援すること

・ファイナンシャルプランナーの原則「顧客利益の優先」「守秘義務の遵守」は超重要