生命保険は他の一般的なサービスとは違い、支払った料金に応じて税金が免除されるという特殊な制度があります。
FP3級の勉強を始めたばかりのあなたでも、なんとなくは知っているでしょう。
生命保険には他にも税金に関係した特殊な制度がいくつかあるので、この記事でわかりやすくご紹介します。
3種の保険料控除
生命保険料には所得控除の制度があります。
生命保険に加入し保険料を支払うと支払った保険料の額に応じて、
契約者の所得が控除され、所得税や住民税が安くなります。
ただし旅行保険などの少額で短期の生命保険は控除の対象となりません。
現行の制度では保険料控除は3種類に分類されています。
1,一般の生命保険控除
かんぽや農協などの生命共済、民間の保険会社が取り扱っている定期保険など少額短期保険業者以外の生命保険は一定の控除が受けられます。
しかし控除を受けるためには保険金の受け取りが契約者本人か配偶者などの一定の親族である必要があります。
2,個人年金保険料控除
個人年金保険も控除の対象となります。
ただし個人年金保険料税制適格特約といって、一定の条件に当てはまらなければ控除を受けることができません。
・年金受取人が被保険者と同一の契約者本人、配偶者
・保険料の払込期間が10年以上
・確定年金・有期年金の場合は支払開始日の年齢が60歳以上で払込期間が10年以上
一時払い契約の場合は控除の対象外になってしまいます。
3,介護医療保険料控除
介護医療保険にも控除枠が設けられています。
控除を受ける場合は以下の条件に当てはまらなければいけません。
・保険金受取人が契約者本人か配偶者
・平成24年1月1日以降に締結した保険
・医療費の支払い事由を元に保険金が支払われるもの
生命保険控料除の額
生命保険料の所得税控除額は一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除と介護医療保険料控除をそれぞれ別々に計算します。
別々に計算した金額を合算したものが全体の控除額になります。
また、控除は住民税と所得税、両方から控除することができますが、計算式は別の物になります。
控除額の計算はそれぞれ下記の式に当てはめられます。
所得税の控除額の計算式
払込保険料 控除額
2万円以下 全額
2~4万円以下 払込保険料÷2+1万円
4~8万円以下 払込保険料÷4+2万円
8万以上 4万円
控除額の最高額は4万円なので、3種合わせた住民税の生命保険控除は最大で12万円です。
平成24年以前に加入した生命保険に関しては別の計算式に当てはめられますが、それでも控除の最高額は12万円を超えないように計算されます。
住民税の控除額の計算式
払込保険料 控除額
12000円以下 全額
12000~32000以下 払込額÷2+6000円
32000~56000以下 払込額÷4+14000円
56000以下 28000円
ぞれぞれの控除額の限度は28000円ですが、3種合わせた控除額は7万円までになってしまいます。
対象となる保険料
その年1年間で支払った保険料が控除の対象になります。
一時払い保険料は支払った年に全額が控除の対象になりますが、前納の場合は払い込回数を按分して計算して控除できます。
受け取り保険金と税金
保険金は受け取る時に税金がかかってしまいます。
しかし一律に同じ税金が課されるわけではなく、保険の契約者や被保険者、受取人の関係によって課される税金の種類が異なり、相続税になる場合、所得税・住民税になる場合、贈与税になる場合と3通りどれかになります。
相続税になる場合
契約者と被保険者が同じ
生命保険金や死亡退職金は本来の財産ではありませんが、被保険者が残したお金のよなものなので「みなし相続財産」として相続税が課されます。
相続人が死亡受取人の場合は一定額が非課税となります。
所得税・住民税になる場合
契約者と受取人が同じ
保険料を支払っている契約者が保険金の受取人の場合は一時所得として所得税・住民税が課されます。
贈与税になる場合
契約者、非契約者、受取人が全員異なる場合
受取人は保険金額をその年1年間に贈与した金額に合算し110万円の基礎控除額を差し引いて贈与税を計算します。
満期保険金・解約返戻金と税金
生命保険の満期保険金や解約返戻金にも税金が課税され、契約者と受け取り人の関係によって課税される税金の種類が決定します。
所得税・住民税になる場合
契約者と受取人が同じ場合
保険料の支払いと解約返戻金の受け取りが同一人物の場合は一時所得として住民税と所得税が課されます。
贈与税になる場合
契約者以外のものが受取人の場合
保険料の支払いをしていない人が解約返戻金受け取る場合は贈与税が課されます。
給付金と税金
障害給付金、入院給付金、高度障害給付金などは非課税になります。
受取人が契約者以外の生計を一にする親族の場合でも税金は課されません。
法人における生命保険の経理処理
法人が支払う保険料の処理は原則
貯蓄性のある養老保険や終身保険は資産に
貯蓄性のない保険は損金算入に計上します。
しかし保険の種類や形態によっては特別な処理をしなければいけません。
1/2養老保険の経理処理
養老保険で、契約者と満期金受取人を法人、被保険者を従業員、死亡保険受取人を被保険者の遺族とする契約形態を1/2養老保険といいます。
福利厚生保険プラン、ハーフタックスプランともいい、保険料の半分を資産、もう半分を損金に算入することができます。
長期平準定期保険の経理処理
・保険期間の前半6割
半分は前払い保険料として資産に算入。残りの半分は定期保険料として損金に算入
保険期間の後半4割
・全額損金に算入。前払い保険料として資産に算入していた分を残りの期間で取り崩し損金に算入する。
長期平準定期保険とは?
役員退職金の原資とされる長期の定期保険。
解約返戻金はピークをすぎると減少していき、保険期間満了時に0になります。
保険期間満了時の年齢が70歳を超えて、加入時の年齢+保険期間の2倍の期間が105を超えるものをいいます。
配当金の経理処理
配当金は支払いを受けた日の事業年度に益金に算入します。
保険金の経理処理
満期保険金、死亡保険金を受けとった時は資産に計上してあった保険料積立金を取り崩して、受けとった保険金との差額を益金に算入します。
FP3級合格のための生命保険と税金のまとめ
「生命保険と税金」では税に関する知識が必要になってくるので、よく理解できない場合は先に税に関するところから勉強したほうが良いかもしれません。
また法人税関係などFP2級から本格的に始まるキーワードも現れてきます。