FP3級に必要な「保険制度全般」の基礎知識

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FP3級の保険制度全般では普段は聞き慣れないキーワードがいくつか登場しますが、どれも重要なもので、試験の出題傾向もかなり高いです。

ここで出てくる「保険業法」や「クーリングオフ制度」は後に2級、1級のFP資格を取得する場合でも、FPの知識を実務で使用する場合でも知っておかなければいけません。

覚えなければいけない新しいキーワードや数字をわかりやすくまとめました。

 

社会保険と民間保険

社会保険は国や地方自治体が行っている保険制度で強制的に加入しなければいけません。

一部、保険料の免除があったり、任意に加入できる特別加入制度があったりもしますが、大枠の中では日本人なら誰しもが加入している保険です。

 

一方、民間保険の加入は任意。

加入者が自ら選択して保険会社と契約を結ぶことから、契約者を守るための法律や規制が整備されています。

 

契約者保護に関する制度と規制

保険料は人生の3大出費と言われるほど、総支出額は高額になります。

また、なにか万が一のことが起きて保険金の支払いが必要になったときも大きなお金が動くことが多いので、契約時の少しの勘違いで後々大損害を被る可能性も考えられます。

 

契約者の利益を守るための保険全般に関する法律や規制、制度などがあるので、FP3級ではこれを抑えなければいけません。

 

保険業法

保険業法は保険業の公共性が高く、もし保険業者に不正があった場合
消費者が被る被害が大きいことから定められた法律です。

FP3級では保険業法の中でも禁止事項をいくつか覚える必要があります。

 

保険業法の禁止事項

・重要な事項を告げない行為の禁止

保険料や補償内容などの重要なことは必ず説明しなければいけません。

・不実告知をすすめる行為の禁止

保険募集人が「告知書に心筋梗塞を書くと不利なので不整脈と書いてください」と消費者に勧めてはいけません。

・告知妨害、不告知を勧める行為の禁止

保険募集人が「告知書に心筋梗塞と書くと不利なので書かないでください」と消費者にすすめてはいけません。

・不当な乗換募集の禁止

新保険に入り直す際に、現在の健康状態のまま乗り換えられないにもかかわらず、今までの保険を解約させる行為はしてはいけません。

・特別利益の提供禁止

契約の際に「今契約すれば保険料を割引しますよ」などと特別な利益を提供してはいけません。

・不当な比較表示の禁止

他の保険と比較して有利な部分のみを説明したり、短所を隠したりしてはいけません。

・将来の金額が不確実な事項にかかる不当表示の禁止

「絶対に損することはない」「銀行の金利より下がることはない」など不確実なことは言ってはいけません。

・保険会社の特定関係者による特別利益の提供の禁止

「保険に入ってくれたら関連会社が提供するサービスを割引します」などとしてもいけません。

・保険契約者保護に欠ける恐れのある行為の禁止 

威圧的な態度で保険の募集をするなど、消費者の保護に欠ける行為は全般的にしてはいけません。

 

クーリングオフ制度

クーリングオフは消費者からの一方的な意思表示のみによって契約申し込見の撤回、契約の解除ができる制度です。

 

一方的な意思表示とは

一方的な意思表示とは申込みの撤回や契約の解除を書面によって行うことをいいます。

特定の書式の書面は無いので、はがきなどに契約を解除したい旨を書いて簡易書留や特定記録郵便など記録の残る方法で送ればOKです。

クーリングオフの期限

契約日か、クーリングオフの内容が記載された書面を受けとった日のいずれか遅い日から起算して8日以内で契約の解除が可能です。

 

もしクーリングオフの内容を記載した書面を受け取っていない場合は、起算日がきてないと判断されますので、基本的にはいつでも契約の解除ができます。

またクーリングオフできるのに保険業者が「クーリングオフはできない」と言ったり、脅されてクーリングオフができなかったりした場合も、8日を過ぎて契約解除が可能です。

 

クーリングオフの適用除外

起算日が到来していない保険でも以下の場合はクーリングオフ制度を利用できません。

・保険期間が一年以下の契約

・医師の審査が終了した申込み

・保険契約者が保険会社、生命保険募集人、損保保険代理店、保険仲立人の営業所、事務所等において保険契約を締結した場合

・当該保険に加入することが法律上義務付けられている場合(自賠責保険など)

 

ソルベンシーマージン比率

ソルベンシーマージン比率は保険会社に保険金の支払い能力があるかどうかを表す指標です。

200%を下回ると監督当局のよる早期是正措置の対象となってしまいます。

 

詳しく説明すると、株の暴落や災害など不測の事態が起こって一気に支払うことになるであろう予想総保険金の額に対する、保険会社が準備しているお金の比率のことです。

 

保険契約者保護機構

保険契約者保護機構は保険会社が破綻した時に、破綻した保険会社と契約していた消費者の契約を代わりに引き受けてくれる組織です。

または破綻しかけている保険会社に資金援助などをして救済したりもしてくれます。

保険契約者保護機構には生命保険と損保保険に分かれており、補償対象や補償割合に少しt街があります。 

 

生命保険契約者保護機構

対象

再保険を除く全保険

再保険とは元請け保険会社が保険の支払いができない時に別の保険会社が肩代わりしてくれる保険のことです。 

割合

責任準備金の90% 責任準備金の90%なので実質の負担額はもっと少なくなってしまうことに注意が必要です。

 

損保保険契約者保護機構

対象 

自賠責保険
自動車保険
家計地震保険
火災保険
傷害・疾病・介護に関する保険契約
海外旅行傷害保険

割合

自賠責保険と家計地震保険は100%補償

自動車保険、火災保険は破綻後3ヶ月は100%補償
その後は80%補償

 

保険契約者保護機構に加入できない保険業

少額短期保険業者は保険契約者保護機構の対象外です。

少額短期保険業者には以下のような特徴があります。

保険金の額が少額

保険期間が一年未満

日本少額短期保険協会

 

FP3級取得の保険制度全般のまとめ

 FP3級の保険制度全般ではすべての保険に共通する内容がまとめられて、かなり重要です。

ソルベンシーマージン比率やクーリングオフ制度に関しては過去問にも毎年のように登場しているので、このあたりに出てくる数字は暗記しておきましょう。